きなりの家 株式会社　建築実例詳細　　空間ごとに表情を変える 光と質感の趣

　高窓から空へと広がる、ダイナミックな吹き抜けの大空間。東に視線が抜けるこの家は、通常より天井を高く取ることで開放感にあふれたリビングを実現している。対して低く抑えた天井のダイニングやキッチン、和室は落ち着きを感じさせる空間となり、光の角度や空間の凹凸が生み出す陰影のグラデーションによって、空間に奥行きのある表情が生まれた。リビングからの採光も十分ながら、ダイニングには設計者の意向で小さなコーナー窓を設けている。「少しでも抜け感や採光、通風を確保するため、北側に立つ住宅からの視線が気にならない位置に開口部を取りました。光のメリハリがあるおかげで、珪藻土の塗り壁の質感が際立ちます」と話し、施主のご夫婦は「用水路の水面に反射する光が、壁や天井にユラユラと映ってきれいです」と、住み始めてから気付いた窓の魅力について教えてくれた。珪藻土の壁は玄関にも採用し、櫛引き（くしびき）仕上げの質感を生かした内装や照明にも工夫を凝らす。大きな開口がもたらす明るさと繊細な陰影が空間ごとの味となり、暮らしの中に豊かさを与えてくれる。