株式会社　カーサ・カレラ　建築実例詳細　　幸せの記憶に満ちた　美しい庭

　青空に向かって枝葉を振るクリの木をシンボルに、小木から山野草まで数えきれない種類の花木が咲き乱れる。ただの植栽ではない。ただ、美しいだけでもない。５年、10年、15年と年月を経ながら、健やかに育ってきた庭。この家が建ったのは約20年前。これだけの敷地を気前よく庭に譲ったのは、まだ幼かった２人の姉妹のために、アウトドアが楽しめる空間が欲しかったから。実際、この庭に幾度もテントを張り、家族４人で仲良く眠った。バーベキューをしたり、ミニプールを出しての水遊びをしたり。山や海に出かける機会も多かったが、それに負けないくらい、庭で過ごす夏は楽しかった。秋を迎えると庭は静けさを取り戻し、歓声の代わりに、はらはらと落ち葉が舞い落ちる。落ち葉の片づけは骨の折れる仕事だ。掃いては舞い、掃いては散って、一日に何度も箒を持たされることもある。でもそれも、木々が健やかである証。手はかかっても、苦ではない。冬が来ると庭に出る時間はぐっと減り、反転させたリビングソファで薪ストーブの暖を取る。慌ただしく夕食の支度をする最中、窓越しに見える静かな土を眺めながら、春の花づくりに想いを馳せる。20年前、まだ幼子だったふたりの娘は、既にここを離れてそれぞれの生活をスタートしている。けれど、この庭で過ごした記憶は今も鮮明に残り、「いつか家を建てるなら、こんな家」と口をそろえる。庭とともに暮らす心豊かさを、感覚的に覚えている。