コンフェット 株式会社　建築実例詳細　　一つ屋根の下に寄り添う ミニマルで豊かな暮らし

　細い路地に沿って家々が軒を寄せ合う、昔ながらの住宅地。Sさま邸はその一画に溶け込むように、それでいてふと目を引き付ける存在感を持って佇む。南西２面に人通りのある角地だが、敷地を囲む塀はない。豊かな植栽が施された庭は路地へとおおらかに開かれ、四季折々の草木の姿を、道行く人たちと共に楽しむ住まいとなっている。
　家は約20坪の、真四角の寄棟の平屋建て。屋内に入ると、頂点から四方に広がる屋根構造がありのままに見える。中心にLDK、その両脇に２つの子ども部屋と畳敷きの寝室が配置されているが、個室の壁のほとんどは上部が抜けており、家全体が大きな１部屋のよう。スキップフロアや段下がりのキッチンなど各所で床の高さを変え、ひとつながりの空間に変化を付けている。
　「小さな家ですが暮らしてみればこの距離感がとても心地よく、家ってこんなにシンプルでいいんだな、と改めて感じています」と奥さま。漆喰の壁や無垢の床に家族の暮らしの跡が重ねられ、いっそう味わいを深めていく。