株式会社 ネクサスアーキテクト　建築実例詳細　　光も風も家族の気配も 心地よくつながる家

　訪れたのは、肌に当たる風がまだひやりと冷たい３月下旬。けれど、南向きの吹き抜けがたっぷりの陽光を集めるこの家の中は、すっかり春めいていた。
　目と鼻の先に親類が暮らし、交友関係も広いＳさまご夫婦にとって、住まいは日々の暮らしの場であるとともに絆を紡ぐ場所でもある。いつ誰が訪れても快く迎え入れられる家にしたかった。生活動線と来客動線が二手に分かれて回遊する巧みな空間設計や、冷蔵庫やパントリーを背面に隠して“魅せる”ＤＫ、同色建具で壁と一体化させつつ、ここかしこに散りばめた大小の収納も、いつでもすっきりと片付いた空間をキープするための工夫のひとつ。吹き抜けを介して家じゅうがつながるこの空間では、互いの気配も程よく伝わる。
　「家事中も家族の様子が手に取るように分かるし、私が慌ただしくしていると子どもたちが進んで手伝ってくれるようになって」と目を細めるＳさま。大開口の向こうでは、そんな子どもたちの健やかな成長を見守るかのように、常緑の果樹園がさわさわと枝葉を揺らしていた。