中島建設 株式会社　建築実例詳細　　楽しさ作る空間　ここで暮らすことが歓びになる空間設計

　ショールームで奥さまが一目ぼれした四角いキッチン。「中島建設」の中島さんはこのキッチンを中心に家づくりのイメージを広げていった。それはご夫婦の好きなものを詰め込むことができる自由な空間だった。
　そんな空間が引き立つよう、外観は箱のようなデザイン。砲金（ガンメタリック）の無機質な外壁に、玄関やベランダの桟などには木材を取り入れ、室内の柔らかい雰囲気を予感させてくれる。1階はご主人こだわりのビルトインガレージと、主寝室や子ども部屋。2階にはキッチン、リビングを中心にした生活スペースを配置した。一般的な間取りとは逆の配置も、日々の生活を楽しみたいと考えるご夫婦にふさわしいと考えた。
　主な生活スペースとなる2階は、梁を出さない天井でスッキリとした印象に。キッチンの目隠し代わり、そしてバスルームやトイレの動線にもなるよう、割烹を営んでいた曾祖父から受け継いだ水屋たんすを配置。背面に木材チップで作られたOSB合板を貼り、奥さまが集めた雑貨がかわいらしく飾れるようにも工夫も加えた。またキッチンと数段の階段で結ばれているリビングは他の部屋より天井が高く、ご夫婦セレクトのマリンランプがアクセントになっている。
　この個性的な空間に、キッチンのシャンデリアや中島さんの提案によるコンクリートフローリングなどを取り入れ、家づくりのプロの想像を超えるこだわりの楽しい空間が誕生した。
　打ち合わせの際、ご夫婦はダイニングテーブルやソファを引越しが落ち着いたら買い足す予定で、中島さんもそのスペースを確保していた。しかし、実際に暮らし始めると、ブラッシング加工されたカラマツの3層フローリングが足を包む感触、そしてキッチンとリビングを結ぶ階段の座り心地もしっくりと感じられ、追加の家具は買わないことに。今では昔から使っていたちゃぶ台や、広いキッチンテーブルで食事を取るように。中島さんは家はつくり終えて完成するのではなく、その人にあったスタイルで暮らしていくことで完成するのだと改めて痛感したという。今後もSさんご家族の「好き」が集まった「おもちゃ箱」は面白みを増していくに違いない。