運船建設 株式会社　建築実例詳細　　遊び心を散りばめた　大人デザインの家

　片付きにくい生活感がにじむ場所は、極力表に出さず隠してしまいたい。そう考えるのは、ごく自然なことだ。けれどこの家ではその最たる場所であるサニタリーを、メインルームのＬＤＫに向かって堂々と開く。「使用頻度が高いからこそ、ここにいるのがうれしくなるような場所にしたかった」と設えられた空間は、壁一面鮮やかなスカイブルー。造作カウンターの下にはお気に入りのインテリアショップで手に入れたおしゃれな収納ワゴンが収められ、開口の先にはさんさんと陽光が降り注ぐ坪庭もある。扉のないアーチ型の入口からのぞくのは、プライベートサロンさながらのリラグゼ―ション空間だ。対するＬＤＫは、白を基調にコーディネート。柱を転用した飾り棚以外デコラティブな装飾は一切控え、白壁の余白をたっぷり確保。背面を白レンガ調に仕上げたキッチンは目線の高さに収納を造らず、リビング階段も側桁や手すりを白に統一することで、その存在感をうまく壁に溶け込ませた。そのシンプルさが余計に、南の開口から注ぎ込む陽光をいっそう清々しく受け止め、同時に、サニタリーやインテリアの色彩をより印象的に浮き立たせている。今回の家づくりではインテリア好きのご主人の想いが存分に反映された。２人の息子たちも、念願の自室を手に入れた。けれどこの真新しい住まいを誰よりも喜んでいるのは、「ここに暮らしはじめて掃除も洗濯も主人がすすんで引き受けてくれるようになった」とほほ笑む、奥さまなのかもしれない。