中島建設 株式会社　建築実例詳細　　風景をつくる家

　その外観は濃い目のブラウンの塗装を施しているが、日の当たり方によってはカーキにも、グレーにも感じられる。まるで住む人と一緒に家も表情を変えているようだ。
　大きなタイルを彷彿とさせる洗い出し加工したコンクリートのアプローチをたどり、玄関へ。まるで周囲の木の壁と同化している隠し扉のような玄関の引き戸を開けると、深いグレーのモルタルの土間につながる。下部にある採光用の窓やリビングからの光と床がつくりだす空気は、優しさの中にも凛としたものがあり、思わず背筋が伸びる。
　室内に入れば目に留まる吹き抜けのLDKに浮かぶのは、4つの球形の照明だ。床や天井の異なる木の素材がつくる感触や1階や2階からも明るさを取り入れた空間は穏やかな空気をつくり、それまで抱えていた疲れや緊張感を解放させてくれる。
　この家に住むKさんご一家は昔からある平屋の一軒家で暮らしていた。2人の子どもたちの部屋が必要な時期になり家づくりを検討、インターネットで「中島建設」を知る。今まで見てきた現実味のないモデルハウスとは違い、「中島建設」のつくる家は人が暮らすための空間であること。そして今までの家づくりにかけてきた想いに大いに共感した。当初はKさんご夫婦は吹き抜けを検討していなかったが、本当に暮らしたい形を追及していくうちに部屋数を増やすよりも、家族がゆっくりできる開放感を追及することになり、現在のLDKにたどり着いた。1階には主寝室を置き、前と同じように家具を配置するなど、見慣れた光景も残しつつ、使い勝手や気密・耐震性など性能を高めた家になった。ふすまの色などは最後はお子さまが決定するなど、家族全員で作った思い出もたくさんできた。
　Kさんご一家には好きな景色がある。夜に室内の電気を消し、2階の窓を見上げると外には月が浮かび、室内にも照明が月のように浮かぶ。そんなひと時を楽しむ贅沢がこの家にはたくさん存在する。